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大阪府立健康科学センターでは、府民の健康レベルの向上に役立てるため、従来の健診や人間ドックではカバーしきれない、健康に対する多様なニーズに対応するため、目的対応型の各種ドックコースを実施中である。すなわち、全身の血管の動脈硬化度を詳しく調べるための「循環器病予防コース」、血液のサラサラ度を調べるための「血流健康コース」、メタボリックシンドロームの診断と予防に重点を置いた「血管と内臓脂肪チェックコース」、精神的ストレスに対する身体の反応やリラクゼーション効果をみる「心身リフレッシュコース」、健康的に肥満解消を行うための食事診断や身体活動量測定に重点を置いた「健康スリムコース」、若い女性に多い冷えの悩みに対応するための「冷え・冷房病コース」、高齢期以降の健康維持のための脳・血管・骨密度・認知機能等の状態を調べる「健やか加齢コース」等である(詳細はパンフレット参照)。「快適睡眠コース」や「母の日コース」などのその時代のニーズの多いコースも随時設定している。
全国的にみると、動脈硬化ドックやアンチエイジングドックなどを実施している機関はあるが、これだけの多種類のドックコースを行っている機関は他に無く、大阪にしかないユニークなドックとして全国各地から注目されている。また、できるだけ多くの府民に受診していただけるよう、費用が安く設定されていることも特徴であり、例えば他機関の動脈硬化ドック等と比較するとほぼ半額程度である。さらに特徴的なことは、各コースともに単に検査を行い、その結果を個人に返却するのみでなく、そこで得られたデータを大阪府民の健康指標として蓄積し、生活習慣病関連の研究に活用している点である。研究の結果、健康の向上に有用であると判断された検査法は、他の健診機関等でも実施できるよう一般化を図ることにも取り組んでいる。
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各ドックコースで用いられている詳細な検査のうち、主な検査の判定結果を別表に示す。要約すると、動脈硬化度、血液流動性、内臓脂肪等、通常の健診では把握できない
潜在的な異常を有する人の割合が比較的多いことが明らかとなった。受診者は、顕在化する前の潜在的な異常がみつかったことにより、生活習慣の改善や受療の継続などへの意識が高まる人が多くみられ、疾病の予防効果をもたらしていると考えられた。また、研究的には、潜在的な異常を予防するための方策について検討中である。
いくつかの成績を示す。
①動脈硬化について、比較的太い動脈である頸動脈の硬化と細い動脈である眼底の網膜細動脈の硬化の進行度が個人により異なることを明らかにした(図1)。さらに、頸動脈硬化にはLDLコレステロールの影響が強いのに対し、網膜細動脈硬化には、高血圧が大きく影響していることを明らかにした(表1)。すなわち、動脈硬化を多角的に評価し、各々の進行度に応じての各種リスクコントロールの必要性が示された。
また、動脈硬化度の評価法として、健診の場で実施できる眼底検査法と頸動脈超音波検査法を開発し、健診機関や医療機関での普及を図るための一般指導書を刊行した(写真)
②府民の食生活を正確に評価できる食事調査法(ゲンキープFFQ)を用いて食事診断を行った結果、肉・魚・油脂の摂りすぎ、穀類・いも・野菜の不足といった府民の食事バランスが大きく崩れていることがわかった(図1)。府民への食に関する正しい知識の普及と環境整備が必要である。また、内臓脂肪蓄積に関連する要因を検討した結果、男性の内臓脂肪面積には労働時間が長く、運動習慣がない、朝食をぬく、飲酒する、遅い夕食等の不規則な生活習慣が影響し、食事では穀類、肉類、油料理が多く、野菜や果物、豆類が少ない食事が影響していると考えられた(表1)。女性の内臓脂肪面積は年齢とともに増加し、運動不足や穀類、いも類の摂りすぎなどが影響していると考えられた(表2)。すなわち、内臓脂肪蓄積の予防・改善の指導には、性差ならびに生活習慣の相違を考慮しての指導が重要であると考えられる。




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心筋梗塞や脳梗塞の予防にとって重要と考えられる血液流動性と関連する要因を解明するために、健診に血液マイクロレオロジー検査(毛細血管モデルによる血液流動性検査)を導入しました。メタボリックシンドロームを含む循環器疾患の危険因子および食品由来の血清脂肪酸(リノール酸等)と、血液流動性との関連を疫学的に分析しました。
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メタボリックシンドロームは、血液流動性を悪くする可能性が示されました。
血清脂肪酸のうち、リノール酸は血液流動性を高める可能性が示されました。
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男性221人を対象に分析した結果、メタボリックシンドローム群(MS群)は、非MS群と比較して、血液流動性低下者(血液マイクロレオロジー検査による血液通過時間50秒以上の者)の割合が高いことが示されました。
(日本公衆衛生学会総会2005)
男女1114人を対象に分析した結果、植物系油脂由来の代表的な血清脂肪酸であるリノール酸が少ない群は、血液マイクロレオロジー検査による血液通過時間が遅いことが示されました。
(農水省食品総合プロジェクト-食品の安全性及び機能性に関する総合研究-2006)



冠状動脈の動脈硬化の一指標である石灰化(カルシウムの沈着)の程度を判定した結果、男742人、女873人中、正常範囲は男6割弱、女7割、中等度以上の石灰化を認めた者は男2割、女1割でした。すなわち、心臓の血管の動脈硬化が進んでいる人が、男の4割強、女の3割もいました。

脳底部の内頸動脈の動脈硬化の一指標である石灰化(カルシウムの沈着)の程度を判定した結果、男790人、女994人中、正常範囲は男5割弱、女4割、中等度以上の石灰化を認めた者は男女とも約2割でした。すなわち、脳底部の血管の動脈硬化が進んでいる人が、男の5割強、女の6割もいました。

脳CT検査により、男女とも約1割の人に脳梗塞の所見を認めました。

頸動脈の動脈硬化度を判定した結果、男1759人、女1697人中、正常範囲は男4割強、女6割、中等度以上の硬化を認めた者は男3割弱、女1割強でした。すなわち、頸動脈の動脈硬化が進んでいる人が、男の6割弱、女の4割もいました。

心エコー検査の判定結果では、男824人、女626人中、正常範囲は、男約6割、女約4割、要経過観察以上の有所見者は、男の約4割、女の約6割でした。有所見の多くは、心臓弁の閉鎖不全症であり、大部分のものは軽度でした。

血液マイクロレオロジー検査による血液流動性の判定結果では、男723人、女1420人中、正常が男8割弱、女8割強、低下が男女とも1割弱でした。すなわち、血液さらさら度が低い者が、男の2割強、女の2割弱いました。

動脈硬化予防に関連する主に植物由来の脂肪酸であるリノール酸の血清中の構成割合の判定結果では、男668人、女1217人中、正常が男8割、女約9割でした。すなわち、男の2割、女の約1割は、大豆や植物油などの摂取不足の可能性がありました。

血栓予防に関連する主に魚類由来の脂肪酸であるイコサペンタエン酸(IPA)の血清中の構成割合の判定結果では、男668人、女1217人中、正常が男女とも9割弱でした。

血栓予防に関連する主に魚類由来の脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)の血清中の構成割合の判定結果では、男668人、女1217人中、正常が男女とも9割強でした。IPA、DHAの結果から、男女とも約1割は、脂肪の多い魚類の摂取不足の可能性がありました。

腹部CT検査の内臓脂肪面積による内臓脂肪型肥満の判定結果では、男1387人、女1398人中、正常は、男4割、女8割でした。すなわち、内臓脂肪面積値100cm2以上の人が、男の6割もいました。女では2割でした。

空腹時のインスリン値の判定結果では、男5919人、女7952人中、正常は男8割、女約9割でした。すなわち、インスリン抵抗性の一指標である高インスリン血症が疑われる人が、男の2割、女の1割もいました。

自転車エルゴメータ検査による判定結果では、男3710人、女1319人のうち、陰性すなわち正常が、男9割、女8割、陽性以上の人が、男4%、女8%でした。

冷水負荷試験による両手の平均回復率による判定結果では、冷え・冷房病チェックコースを受診した男18人、女122人のうち、正常は男女とも2割強、低下が男4割、女5割でした。すなわち、冷え症状を訴える者の約8割は、冷水負荷試験による手の末梢循環回復機能が低下していました。