血圧について

Q1. 血圧が高いと問題があるのか
A1. WHO/ISHによる血圧分類(1999)によれば、最大血圧値が140mmHg以上もしくは最小血圧値が90mmHg以上であれば高血圧と診断されます。血圧が高くても症状に出ることはめったにありませんので、「放置してもよいのでは」と考える方もおられるかと思います。しかし、血圧が高い状態が続くと、動脈硬化が徐々に進み、将来的に心臓病や脳卒中にかかりやすくなることがわかっています。具体的には、至適血圧(最大血圧値が120mmHg未満かつ最小血圧値が80mmHg未満)の人に比べて、高血圧(最大血圧値が140 mmHg以上もしくは最小血圧値が90mmHg以上)の人は男性で4倍以上、女性で3倍以上将来脳卒中にかかりやすいことが報告されています。さらに高血圧は腎臓病や眼底出血等の原因になることも知られています。したがって、症状の有無にかかわらず血圧を定期的に測定して自分の血圧値を知っておくことが大切です。また、血圧が高い場合には食事や運動などの生活習慣に気をつけて至適血圧に近づけるようにしましょう。生活習慣に気をつけても血圧が高い状態が続く場合は、医師の診察を受けて医師の指示により、降圧剤などの薬を服用することが必要です。
Q2. 病院や保健センターで測ると血圧が高いが、家では低いので放置してもよいのでは
A2. 家で測ると正常なのに、病院や保健センターなどの医療機関で測ると血圧が高くなる場合、「白衣高血圧」である可能性が高いと考えられます。白衣高血圧とは、文字どおり白衣を着た医師、保健師、看護師などに血圧を測定された場合にのみ示す高血圧のことをいいます。年齢が高い人や緊張しやすい人に多くみられることが知られていますが、それ以外の人でもみられる場合があります。では、白衣高血圧は放置してもかまわないのでしょうか?一般に、白衣高血圧の薬物治療は必要ないと言われていますが、長期的にみると将来高血圧になりやすいという報告もあります。また、緊張しやすい人では家庭での血圧は正常でも、職場での血圧が高い人もいます。白衣高血圧だからといって放置せず、経過観察のために定期的に血圧を測定しましょう。また、携帯型血圧計による24時間血圧測定を行い、血圧が変動しやすいタイプかどうか、本当に白衣高血圧かどうかなどを医師に判断してもらいましょう。
Q3. 脈圧が大きすぎても、小さすぎてもいけないというが本当か
A3. 脈圧とは最大血圧値と最小血圧値との差のことをいいます。通常、最大血圧値は年齢とともに上昇しますが、最小血圧値は50〜60歳をピークに徐々に低下しますので、脈圧は60歳以降では加齢とともに増大してきます。加齢による脈圧の増大は、動脈硬化の進展が原因と考えられています。すなわち、動脈硬化が進んでくると大動脈の壁の伸展性が低下するために、最大血圧値が増加し、最小血圧値が低下し、そして脈圧が増大することになります。また、脈圧が大きすぎると将来的に心臓病や脳卒中になりやすいことが報告されています。したがって、60歳以上の方で脈圧が70mmHg以上ある方は高血圧による動脈硬化の進展に気を付けて下さい。一方、肥満者では最大血圧値は正常で(140mmHg未満)、最小血圧値が高く(90mmHg以上)、結果として脈圧が小さく(最大血圧値と最小血圧値の差が少ないこと)なっていることがときどきみられます。この場合もやはり高血圧と考えて、減量などの生活習慣改善が必要です。さらに、心不全、脱水などが原因になって脈圧が小さくなることもあります。いずれの場合も1回の血圧測定のみでは判断せず、時と場所を変えて何回か測定してみることをお勧めします。
Q4. 運動をすると血圧が上がる?それとも下がる?
A4. 一般的に、運動中には血圧は上がります。これは、運動による組織での酸素や栄養分の消費に補給が追いつかないので、心拍数や血圧を上げながら血流量を増やしてそれに対処するためです。特に、ウェートトレーニングなど重いものを持ち上げたり、息をこらえたりする運動は血圧が著明に上昇するため、高血圧の人にはお勧めできません。一方、ウォーキングなどの軽度の運動は、運動中の血圧上昇もそれ程大きくはなく、長期的には血圧を下げる効果があることが知られています。これは、運動による減量効果や高血圧の原因の一つと考えられているインスリン抵抗性を改善するためと考えられています。現在推奨されている運動(身体活動)は、速歩など中等度の運動を1日合計30分(8〜10分程度の細切れでも可)、できるだけ毎日(週6〜7日)行うというものです。しかしここで注意したいのは、これまでまったく運動をしたことのない方が急に運動をはじめると、膝や腰などを痛める場合があります。最初から無理はしないで自分のできそうな運動(もしくは身体活動量を増やすこと)からはじめるようにしましょう。
Q5. 薬は一生飲まないといけないのですか?薬を飲まずに血圧を下げる方法はありますか?
A5. 高血圧は体質的(遺伝的)要因と環境的(環境、生活習慣等)要因の双方が関与して起こることが知られています。したがって、高血圧と診断された後に運動、減量、節酒、塩分制限、カリウム摂取、ストレスの減少等、生活習慣を改善させることによって血圧が下がり、降圧剤(血圧を下げる薬)を飲まなくてもよい場合がたくさんあります。しかし、どんなに生活習慣の改善を心がけたとしても、高血圧の程度が進んでいると、それだけでは血圧が十分に下がらない場合があります。その場合は降圧剤の必要性について主治医に相談してください。 一方、降圧剤は高血圧そのものを治す薬ではなく、薬を飲んでいる間だけ血圧を下げる薬ですから、薬だけを飲んで高血圧が治るということはありません。降圧剤を飲んでいる人も必ず生活習慣改善を心がけましょう。それにより降圧剤が必要でなくなる場合もあります。また、生活習慣の改善により血圧が下がった場合でも自分の判断のみで薬を減量したり中止したりせず、必ず主治医に相談してからにしましょう。
Q6. 自動血圧計は水銀血圧計と比べて正確ではないのでは
A6. 自動血圧計は、血圧を測定する方法で二種類に分類できます。ひとつは、腕に巻いた圧迫帯で血管を圧迫して血流を止め、徐々に圧迫帯の圧力を下げていったとき、血流が再開したときに出る音が聞こえ始めた時の圧力を最大血圧とし、その音が聞こえなくなった時点の圧力を最小血圧とする「コロトコフ法」です。音は、圧迫帯に装着してあるマイクロフォンで把握します。これは医師等の行なう聴計法と同じ原理です。今ひとつは、圧迫帯の圧力を下げていったとき、血管の振動が、最大血圧時に急に大きくなり、最小血圧時に急に小さくなる性質を、圧力の変化として捉えて測定する「オシロメトリック法」です。現在市販されている自動血圧計は、水銀柱を使わないデジタル表示の場合でも、水銀血圧計と比較して精度管理がされているため、毎年定期的に精度管理してあれば、正確さでは水銀血圧計と大きな違いはないものと考えられます。血圧は測定部位によって少しずつ違い、また、圧迫帯の巻き方などでも違ってきます。一般には太い血管ほど測定が容易であり、心臓に近い右上腕を心臓と同じ高さに置くのが血圧測定にもっとも適しています。手指や手首など肘から下で測定する血圧計は、上腕で測定するものより誤差が大きくなる傾向があります。特に、動脈硬化が進展している場合は上腕の血圧との隔たりが大きくなると考えられます。
Q7. 病院と家のどちらの血圧測定が本当なのか
A7. 血圧は1日のうちでも変動しますし、室温などでも変化します。病院と家庭の血圧計による違いは、精度管理されたもので正しい測定方法を守っているかぎりあまり大きなものとはなりません。家庭の血圧計も、正しく使えば日常生活の中のいろんな時点での血圧を測定できます。病院では、緊張のあまり血圧が上がる方でも、自宅ではリラックスして血圧を測定することができるでしょう。家庭で血圧を測定する利点は、異なる日に測定した多数の値が、日常生活により近い状態で得られることにあります。そして、日常生活の中にある血圧を上昇させる要因を発見する手がかりが得られ、より効果的に血圧の管理を行うことが可能となることにあります。家庭で血圧測定をする場合は、上腕で測定する血圧計がお勧めです。日々の変化を見たいときは、なるべく一定の時間に、いつも同じ腕で同じ姿勢で測定しましょう。飲食の直後や寒すぎる部屋、暑すぎる部屋での測定は好ましくありません。主治医のところで、血圧計の正確さを年1回はチェックしておけば安心です。
Q8. 血圧の基準値が変わったがなぜか
A8. 高血圧の治療について、全世界で様々な臨床試験が行われています。それらの臨床試験の結果、様々な知見が得られています。これらの成績をもとに、WHO(世界保健機関)とISH(国際高血圧学会)が高血圧の管理指針を作成しています。現在の管理指針は1999年に作成されたものです。この管理指針によると、120/80mmHg未満が至適血圧、130/85mmHg未満が正常血圧、140/90mmHg以上が高血圧とされています。高血圧者では60歳未満と糖尿病の患者の場合は正常血圧の範囲まで降圧することが治療の目標と設定されました。また60歳以上の高齢者でも140/90mmHg未満まで降圧することが求められています。従来は、血圧を下げすぎると脳梗塞、心筋梗塞による死亡率が上昇するという現象(Jカーブ現象)が懸念されており、高齢者では積極的な降圧療法に疑問が持たれていました。しかし、幾つかの臨床試験の結果、拡張期血圧が低ければ低いほど、脳卒中、冠動脈疾患のリスクが低下することが示されました。こうした根拠(evidence)に基づいて、降圧目標が従来と比べてより厳格になったのが1999年版の管理指針の特徴です。
Q9. 薬を飲む目安はどれくらいの値か
A9. 1999年に出されたWHO/ISHの高血圧管理指針には、高血圧と1)心血管疾患の危険因子の存在、2)動脈硬化などの臓器障害の存在、3)脳血管性疾患や心血管疾患、腎疾患などの存在の組み合わせによって、薬物療法の開始時期が示されています。収縮期血圧180mmHg以上または拡張期血圧110mmHg以上の場合は、ただちに薬物療法の開始が必要とされています。収縮期血圧180mmHg未満かつ拡張期血圧110mmHg未満で危険因子(高齢(男55歳以上、女65歳以上)、喫煙、高脂血症、糖尿病、高血圧の家族歴)が2つ以下の場合は、生活習慣の改善をしながら血圧などを監視することになります。危険因子が1〜2個ある場合、3〜6ヶ月たって収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上が続くようであれば、薬物療法の開始が必要とされています。危険因子がない場合は、3ヶ月ないし1年が経過して収縮期血圧150mmHg以上または拡張期血圧95mmHg以上が続くようであれば薬物療法が必要とされています。このように体の状態によって薬を飲む目安が変わってきますので、検診で高血圧を指摘された方は定期的に血圧を測定し、治療開始の時期については主治医とよく相談してください。
Q10. 降圧剤の内服を、血圧が低いので自己判断で中止した
A10. 降圧剤の種類にもよりますが、服用を中止すると急激に血圧が上昇して危険な状態となる場合があります。また、降圧剤によっては、狭心症の予防など降圧以外の作用があるものもあります。いずれにせよ、自己判断による中止は生命の危険すら招きかねません。立ちくらみなど低血圧によると思われる症状が出現した場合は、必ず主治医に相談して指示を仰いでください。家庭での血圧測定などで血圧が低い状態が持続している場合は、その数値をもとに主治医と相談してください。降圧剤を減量する場合は、複数の降圧剤を使用している場合は併用する薬剤の数を減らす、薬剤の種類を変更する、服用回数を減らす、1回の服用量を減らす、などの方法を組み合わせながら、血圧や全身の状態を監視しながら行う必要があります。自己判断による中止は危険ですので、絶対にしないでください。また、主治医の許可を得て服薬を中止しているときも、少なくとも2週間に1回は血圧の測定を行い、経過を主治医にみてもらってください。
Q11. 遺伝の影響は最大血圧値と最小血圧値のどちらに強く出るのか
A11. これまで、摂取した塩分の体内への取り込みや排泄に関連する遺伝子や、血圧を上げる物質を作る酵素と関連する遺伝子など、様々な遺伝子と高血圧との関連が研究されてきました。しかし、最大血圧値や最小血圧値それぞれにはっきりと関連する遺伝子というのは、明らかではありません。最大血圧値と最小血圧値の間には一般に密接な相関があります。最大・最小血圧値はともに遺伝的要因に加えて、食事、飲酒、運動、温度、ストレスなどの生活習慣や環境要因が様々な形で関与しています。したがって、例え血圧が上がりやすい遺伝的要因を持っていたとしても、良好な環境の下では高血圧を防ぎ得るし、高血圧の人も生活習慣や環境要因を改善させることで血圧はある程度低下すると考えられます。実際に、地域住民275組の親子の30〜49歳のほぼ同じ年齢時における血圧値を比べてみると、子は親よりも一般に低い血圧値を示していました。また、親子間の血圧値には明らかな関連はみられませんでした。したがって、生活習慣が大きく異なる世代間では遺伝的な要因よりも環境的な要因の方が血圧値に与える影響が強い場合もあると考えられます。
Q12. ストレスは血圧に関係していますか
A12. ストレスと血圧との関係は、仕事上のストレスと日常生活上のストレスの2つに大きく分類されます。仕事上のストレスでは、仕事の量が多かったり、技術的に難しいなど要求度が高く、自分で仕事内容を選べないなど裁量の自由度が低い職種では、ストレスがかかりやすく勤務日の血圧が高くなることが報告されています。また、月残業50時間以上などの長時間労働や、交代勤務などによる睡眠不足が血圧上昇と関連することも報告されています。さらに、仕事上のストレスがたまると、大量飲酒や喫煙など生活習慣の乱れを介して血圧が高くなる場合もあります。日常生活上のストレスでは、怒りや不安が日常生活の中で大きく血圧を上昇させる感情変化の一つとして知られています。特に、怒りを胸の内にため込んだり、不安をずっと持ち続けると将来的に高血圧にかかりやすくなることが報告されています。ストレスがたまっている人は、自分の気持ちを家族や友人に話したり、定期的な運動などのストレス解消法により、ストレスを上手に発散させることが必要です。
Q13. 肥満ではないが、最小血圧値のみ高い場合について、気をつける点はどのようなものか?
A13. 最小血圧値は肥満により高くなりやすいことは知られています。しかし、最小血圧値を高くする原因は肥満だけではありません。減塩・カリウム摂取、適度な運動、節酒、ストレス解消などは、たとえ肥満がなくても実行すべき生活習慣です。また、肥満度は高くなくても、内臓脂肪(腸の周りにある脂肪)が多い場合は、それが高血圧の原因になりますので、食事と運動に注意して、ウエストを引き締めるような減量が必要になります。生活習慣の改善のみで下がらない場合は、服薬の必要性について医師に相談しましょう
Q14. 高血圧でも塩分感受性高血圧でなければ減塩にこだわらなくてもよいのか。
A14. 塩分感受性高血圧でないということは、塩分が血圧に影響しない体質ということですから、確かに高血圧を直すためには、減塩よりも、運動、肥満解消、節酒など、他の高血圧予防の生活習慣に重点を置いた方がよいといえます。しかし、塩分感受性に関わる遺伝子も一つだけではなく、本当に塩分感受性かどうかを単純に決めるのは難しいことです。また、塩分の摂りすぎは、塩分感受性高血圧の有無にかかわらず、胃がんのリスクを高めると言われています。減塩は、本人のみならず、同じ食事をとる家族にとっても大切なことですので、減塩の習慣をぜひ身につけましょう。
Q15. 拡張期血圧、収縮期血圧、どちらか一方が高い時におこる病態に違いはあるのか。
A15. 拡張期血圧だけが高くても、収縮期血圧だけが高くても、動脈硬化が進行しやすく、脳卒中や心臓病を起こしやすくすることに変わりはありません。1980年代までは拡張期血圧が臓器障害の発症やその防止の観点から、収縮期血圧よりも重要視されていましたが、その後の研究により、収縮期高血圧も、心血管系の病気を引き起こしやすくすることが明らかとなりました。特に、動脈硬化の進みやすい高齢者では、脈圧(収縮期血圧と拡張期血圧との差)の増大と収縮期血圧とが密接に関連し、心血管系の病気が起こりやすくなると考えられています。
Q16. 最低血圧がゼロの人にはどのような原因があるのか。
A16. もっとも考えられる原因は、大動脈弁閉鎖不全症です。心臓から血液が大動脈に送り出されると、大動脈は拡張してあるていどの血液が大動脈内に貯留します。心臓が拡張期に入り、大動脈弁が閉鎖して心臓からの血液が供給されなくなっても、収縮期に拡張した大動脈が収縮することで、末梢へ向かって血液が送り出されていきます。このときの圧力が、拡張期圧つまり最小血圧のもとになります。このようにして、末梢に向かって間断なく血液が送り出されていく機能は、「ふいご機能」と呼ばれます。心臓は拡張初期には、その内圧ががほとんどゼロとなります。ふいご機能で圧力を保っている大動脈との間では、大動脈弁が圧較差を支えています。従って、大動脈弁に異常があって、この圧較差を支え切れない場合、最低血圧がゼロとなります。
Q17. 医師から血圧を下げる薬を飲むように言われましたが、副作用が心配です。何ともないのに、飲まなければいけませんか。
A17. 何ともないというのは、自覚症状が無いだけであって、実際は、無症状のうちに高血圧によって全身の血管が障害され、やがて、脳卒中や心臓病などの病気を起こすのが高血圧です。減塩、節酒、適度な運動など、生活習慣の改善により、血圧が下がる場合もありますが、それでも依然血圧が高い場合は、血圧を下げる薬を飲む必要があり、実際、血圧を下げることで、血管の障害を防ぎ、脳卒中や心臓病などが起こりにくくなることが証明されています。血圧を下げる薬には、いろいろな種類のものがあり、その効き方、副作用の出方もいろいろです。主治医とよく相談して、自分に合った血圧の薬を見つけましょう。また、一見血圧が正常になっても、自己判断で薬を中断してはいけません。必ず主治医の指示を守りましょう。
Q18. 最近、高血圧の基準が厳しくなってきたが、なぜか。
A18. 生活環境の変化に伴い、非常に血圧の高い人の割合は減ってきましたが、少しだけ血圧の高い人(従来の境界域高血圧レベルの人)の割合が増えてきました。これに伴い、少しだけ血圧の高い人から脳卒中や心臓病を発症する人の数も多くなってきました。さらに、正常血圧レベルの人であっても、その中で血圧の値がより高い人は、将来的に高血圧を発症する確率が高く、さらに、将来的に心臓病や脳卒中などの病気を起こす確率がより高いことが、多くの研究で証明されてきました。ですから、高血圧や脳卒中・心臓病の発症を今以上に抑えるためには、より早期の段階から血圧に気を配ること、すなわち「予防」するということが今までより重要視されるようになりました。現在の基準では、収縮期血圧値130mmHg以上140mmHg未満または拡張血圧値85mmHg以上90mmHg未満が正常高値、収縮期血圧値140mmHg以上または拡張期血圧値90mmHg以上が高血圧となっています。
Q19. 自動血圧計の精度管理とはどういうことか
A19. 血圧測定では、水銀血圧計を用い、聴診法によって測定することが標準的な方法とされています。自動血圧計による血圧測定値が聴診法による血圧測定値と一定の較差以内にあることを保証することが自動血圧計の精度管理です。日本高血圧学会家庭血圧測定条件設定作業部会がまとめた「家庭血圧測定条件設定の指針」によると、家庭用血圧計の精度は聴診法との較差が5mmHg以内であることが必要とされています。そして、検定の方法としては片側交互法(一方の腕で、家庭用血圧計と聴診法で交互に血圧を数回ずつ測定する)、あるいは両側同時法(片方の腕で聴診法、もう片方の腕で家庭用血圧計を用いて同時に測定する)を用いることが推奨されています。また、精度の確認は定期的に行うことが推奨されています。自動血圧計の中には、水銀血圧計とT字型の管を用いて接続することで水銀血圧計と計測値を比較して圧力計としての精度を確認できるものがあります。また、聴診法と自動測定を同時に行うことで測定の妥当性を確認できる機種もあります。通常は、自動血圧計の精度管理は1年に1ないし数回行えばよいでしょう。血圧測定時の条件が適切であり、自動血圧計が適切に使用されているにもかかわらず、水銀血圧計との較差が大きい場合には、自動血圧計のメーカーに相談するべきでしょう