学資保険の予定利率や返戻率とは?高い理由や下がる理由を把握

とある人
予定利率と金利って違うの?
とある人
学資保険は返戻率のほかに予定利率も高いほうが良いの?

学資保険でお金を貯めようと思っている人は、このような疑問をお持ちかもしれません。

学資保険は、保険会社の定めた利率に基づいてプラン内容が設計されています。

特に学資保険は貯蓄性の高いサービスです。

お得に教育費を準備したいならば、以下を確認してから契約するとより安心感があるでしょう。

  • 保険料がどのような利率で算出されているのか
  • 返戻率、予定利率がどのように学資保険へ影響するのか
  • それぞれの利率が変わった時の保険料の比較

「予定利率、返戻率」は専門用語ですので、初めて聞いたという人もいるかもしれません。

この記事では上記内容に加え、予定利率や返戻率の基礎知識についても説明していきます。

また、最新の学資保険の利率についてランキング形式で紹介していきます。

学資保険の加入を検討している人は、返戻率の比較も参考にしてみてくださいね。

 

学資保険の予定利率や返戻率とは?

学資保険の予定利率や返戻率は契約した時に決まる利率のことで、それが契約満了まで続きます。

結論からお伝えすると、学資保険は予定利率や返戻率の高いプランを選んだ方がお得です。

とはいえ日本はバブル崩壊後からデフレが続いており、昔と比較するとお得な金融商品が少なくなってきています。

「景気が悪いから学資保険もお得ではない」と考えている人もいるでしょう。

しかし学資保険の予定利率や返戻率は、加入時に固定されるという特徴があります。

加入時に利率が固定されるということは、経済状況に関わらず契約満了まで同じ利率で積立ができるということです。

予定利率や返戻率が良い時期に契約をしておけば、今後デフレが加速し利率が低くなったとしても安心感がありますね。

学資保険はプランによって、積み立て額よりも多くのお金を準備できる特徴もあります。

ただ加入時に利率が低ければ、積立額よりも受取額の方が少なくなり元本割れを引き起こしかねません。

少しでもお得に積立てしたいならば予定利率や返戻率についてチェックしておきましょう。

予定利率とは何?

予定利率とは契約時点で固定される保険会社の運用率のことです。

保険会社は契約者の支払った保険料を資産運用し、保険金の支払いに備えています。

運用の目的は契約者へ支払う保険金を減らさないことです。

しかし運用先である国債の利回りが悪化すれば、保険会社の資産運用が厳しくなります。

金融庁から国債など金融商品の利率変更が通達されると、保険会社は予定利率の見直しが必要になるということです。

予定利率は保険会社の運用先の利回りと連動しているといえるでしょう。

そのため契約時に予定利率が固定されるタイプの保険において、A社は2%でB社は0.5%と予定利率が大きく異なることはありません。

学資保険の予定利率は、各社ともに横並びの状態ということです。

予定利率の確認方法

保険会社にもよりますが、下記の画像のように保険プランの中や保険証券に予定利率の記載があります。

生命保険 予定利率

主契約予定利率年:1.15%

とあり、これは契約開始から年1.15%の運用を見込んだ契約ということです。

保険料15.393円は、上記の予定利率で収益を出していくことを見込んで算出された金額になります。

上記の予定利率は契約当時のものです。

そのため契約の見直しや新しく加入をする際、この数値が変わっていることもありえます。

なぜなら予定利率は、経済情勢や保険会社の運用実績に基づいて、その都度見直しされるからです。

同じプランでも予定利率の改定前後では、保険料に差が生じるでしょう。

ただし先ほどもお伝えしましたが、予定利率は加入時点で利率が固定されます。

すでに学資保険へ加入済みであれば、その契約の利率が変更されることはありません。

しかし加入前にプランの検討が長引いてしまうと、途中で利率が改定される可能性もあります。

経済情勢も確認しながら、加入時期にも気をつけていきましょう。

予定利率の数値は学資保険にどのように関わってくるか

予定利率は経済情勢に影響を受けやすいとお伝えしましたが、学資保険の契約にどのように関わってくるのでしょうか。

結論からお伝えすると、予定利率が高いと保険料が安くなります。

つまり学資保険で300万円を貯める場合、同じプランでも予定利率が高ければ保険料が安くなるということです。

予定利率1.5%と0.2%では、1.5%の契約の方が保険料が安くなりお得に積立てできます。

それは同じ保険料を運用する場合でも、運用収益が多ければ結果的に少ない元金でお金を増やせるからです。

保険会社は「将来これくらい収益が出せるだろう」という前提のもとで予定利率を決めます。

予定利率が高いと収益が多く見込め割引率が多くなり、結果的に保険料がお得になるのです。

そのため景気が良く収益が多く見込めそうな時は、予定利率が高めに設定されます。

予定利率の推移については後述しますので、あわせてご覧ください。

返戻率とは何?

返戻率とは、払込保険料に対してお金がいくら受け取れるかを%で表したものです。

返戻率が何%なのかで積立がお得にできるかどうか判断できます。

返戻率
100%以上 99%以下
お得度 ×
(元本割れ)

学資保険は積立以外にも万一の保障がありますので、返戻率だけで良し悪しを判断するのは難しいです。

「とにかくお金を少しでも多く積立てしたい!」

と積立メインで考えているならば、返戻率がプラン選びの判断材料になるでしょう。

返戻率は、以下の式にあてはめると自分でも計算することができます。

満期までの受取総額÷払込保険料×100=返戻率(%)

例えば、

「保険料を288万円払込み300万円受取れるプラン」の場合
⇒返戻率:300万円÷288万円×100=104.1%

となります。

100%を超えるプランですので、積立額よりもお金が多く受け取れることがわかりますね。

逆に、

「保険料を320万円払込み300万円受取れるプラン」の場合
⇒返戻率:300万円÷320万円×100=93.7%

となり、返戻率が100%を下回ると、受取額よりも払込額の方が多くなり元本割れとなります。

もし積立をメインで考えているならば、できるだけ元本割れは避けたいですね。

ただ返戻率は支払うべき保険料を払い終え、契約満了まで継続した場合の数値となります。

下記の画像はソニー生命の学資保険の保険証券です。

ソニー生命 解約返戻金一覧 

この保険証券の数値は契約時に確定されています。

例えば上記プランで15歳で解約した場合、払込保険料2,685,000円に対して解約金は2,435,400円です。

もし15歳で解約をした場合、249,600円がマイナスとなります。

上記プランは返戻率105.4%ですので、途中解約をするとこの数値が関係なくなることがわかるでしょう。

返戻率も予定利率と同様、契約時に数値が確定します。

繰り返しになりますが、それは契約満了まで続けた時の返戻率です。

途中で解約をしてしまうと、いくら高い返戻率でも関係ないということを覚えておきましょう。

予定利率と返戻率の関係性

予定利率と返戻率は、それぞれ違う利率を表すものということがわかりました。

予定利率 契約時に固定される利率。
契約満了まで変わらない。
返戻率 払込保険料に対し、
どれくらいお金が戻ってくるか表したもの。

性質の異なる利率ではありますが、予定利率と返戻率は利率改定と連動するケースが多いです。

保険会社は予定利率をもとに、学資保険プランの返戻率を設定します。

しかし経済情勢が悪くなり運用収益が見込めなくなると、それまでの予定利率では契約を保つことが難しくなります。

予定利率は保険会社が独自に設定できます。

しかし、運用収益が見込めない時に利率を高いままにしておくことはしません。

契約者からの保険料と運用収益で契約が保てなくなると、保険会社の経営にも影響があるからです。

繰り返しになりますが、予定利率を下げると保険料の割引が小さくなります。

保険料が高くなれば、同じ学資保険のプランとしても返戻率が下がるということです。

予定利率は頻繁に改定されるものではありませんが、経済情勢の影響が大きく出やすいでしょう。

ただ、次の改定がいつかなのか、ということを知ることは難しいです。

そのため予定利率の特徴や傾向を知り、学資保険をどのように利用していくか決めておきましょう。

予定利率
高い 低い
保険料 安い
(割引率が高い)
高い
(割引率が低い)
返戻率 上がる 下がる

 

学資保険の予定利率の推移

学資保険の加入前に予定利率を知りたいと考える人がいるかもしれません。

調査をしたところ「学資保険」に特化したものは各社公表をしていませんでした。

ただ取り扱う保険商品すべての予定利率であれば見つけることができましたので、グラフにまとめました。

例えばソニー生命の予定利率は下記のように推移しています。

ソニー生命予定利率 推移
2019年ソニー生命ディスクロージャー誌をもとに作成
※予定利率は最低数値を記載

参考資料には予定利率〇%-〇%と幅を持たせて記載しているため、上記グラフは最低数値で作成しました。

上記グラフから、バブル崩壊時期に予定利率が大幅に低下していることがわかりますね。

その後は2016年マイナス金利導入もあり、2018年の予定利率は0.25%となりました。

前述の通り、予定利率はプランごとに変わるケースがあります。

ですので、各社どのサービスが何%か確認するのが難しいです。

もし最新の利率を知りたい場合は、コールセンターや営業担当者などに問い合わせることで確認することができるでしょう。

ただ予定利率はあくまでも利回りを約束するための数値です。

これまで述べてきたように、すぐに高くなったりするものではありません。

大切なのは学資保険をどのように利用していくかということです。

利率の高い・低いでサービスイメージが変わるかもしれませんが、参考程度にとどめておきましょう。

予定利率が下がる理由

先ほど説明したソニー生命の予定利率の推移からわかるとおり、予定利率は経済情勢の影響を受けやすいです。

予定利率が下がる主な要因は「デフレで運用先の金利が低下したから」と考えられます。

経済情勢は何かの拍子で突然上向いたりすることはありません。

しかし大手保険会社などで予定利率が改定される時は、事前に新聞などでも取り上げられることが多いです。

2019年10月の日経新聞では「生保、円建て貯蓄型休止も」という記事で、2020年1月に※標準利率が0%になることを伝えています。

まだ学資保険未加入の場合、新聞などで予定利率のほか金融商品の利率にも注目しておきましょう。

※標準利率…予定利率を決める際に参考にする利率のこと

予定利率は資産運用先の利率が重要

冒頭で予定利率は保険会社ごとに設定ができるとお伝えしました。

ですが、運用先の利率を考慮しないと契約を保つこと自体が難しいです。

保険会社はそれまでの資産運用の実績も含め、保険金支払いが集中しても対応できるような運用をしています。

ただ運用先の利回りが下がれば、今までよりも収益が下がることは間違いありません。

もし予定利率を変更しなかった場合、保険契約を維持するためには運用収益が減った分を保険会社が穴埋めする必要があります。

保険会社は比較的に安定した国債などで長期の資産運用をしています。

一方で、リターンが多く見込めませんので運用先の利率は注視しなくてはならないということです。

保険会社もお金を増やす見込みがなければ、魅力的な商品は設計できません。

2020年は保険会社の運用が厳しく、学資保険では返戻率100%以上を保てる商品が限られてきています。

元本割れの商品もありますので、契約前にはよく確認しておきたいですね。

学資保険の元本割れや予定利率が下がっていることについては、「学資保険の返戻率が元本割れするのはなぜ?100%を超えるサービスもまとめて紹介」で解説していますので、あわせてご覧ください。

予定利率が同じでも返戻率に差がある理由

ここまで予定利率と返戻率について説明してきましたが、

「予定利率は各社横ばいだけど、返戻率に差があるのはなぜ?」

と思った人もいるかもしれません。

簡単にお伝えすると、返戻率の差は保険会社ごとの販売戦略の違いの現れです。

保険会社は「日本の会社か外資系か、どのように顧客を開拓しているか」も含めて企業ごとの経営方針が異なります。

学資保険のように貯蓄性の高い商品は、保険会社にとって利益率が低いです。

もちろん営業職員にとっても同じで、学資保険の販売だけでは相当な契約を取らなければならないでしょう。

とはいえ、学資保険は保険未加入者でも「積立」のイメージが強いです。

ですので、「加入しやすい、入ったほうが得」と感じやすいのです。

そのため保険会社によっては「学資保険」を全面的に売り出し、新規顧客を獲得してるケースもあります。

このような事情から、学資保険に注力する保険会社では返戻率を高めに設定していると考えられるでしょう。

 

学資保険の返戻率の比較とランキング

学資保険は予定利率の他、返戻率が高いほどお得に積立てができるとお伝えしてきました。

今後、予定利率の改定が入ると現在販売中のプランの返戻率へ影響がでる可能性があります。

ここでは2020年6月時点での最新返戻率をランキング形式でお伝えしていきます。

詳しい学資保険ランキングについては「学資保険のおすすめランキング!返戻率の高さや加入者数を徹底比較」も併せてご覧ください。

返戻率は各プラン同条件でシミュレーションしたものです。

【条件】

  • 契約者:30歳女性
  • 被保険者:0歳
  • 満期時期:22歳
順位 保険会社 返戻率
1 日本生命 106.0%
2 ソニー生命 105.7%
3 フコク生命 105.7%
4 明治安田生命 104.9%
5 住友生命 102.9%
6 JA共済 101.3%
7 第一生命 100.4%
8 アフラック 98.3%
9 かんぽ生命(医療保障つき) 84.1%

※2020年6月時点の情報です

ランキングも1位と9位では返戻率に大きく差がありますね。

とはいえ、予定利率の改定で返戻率が変更されるとランキング順位も変わると考えられます。

学資保険の加入については、何を一番重視するかでプランの選び方が変わってきます。

もしできるだけお金をお得に貯めたいならば、上記ランキングを参考にしてみてください。

 

まとめ

学資保険の予定利率や返戻率について、利率の高い理由や下がる理由を解説しました。

この記事のポイントは以下のようになります。

  • 予定利率や返戻率は加入時に満期までの利率が固定される
  • 予定利率は保険会社が自由に決められるが、経済情勢や運用実績に基づいて設定する
  • 予定利率が下がると保険料の割引率が少なくなり、返戻率も下がりやすい
  • 同じ予定利率でも、保険会社の販売戦略によって学資保険の返戻率に差がある
  • 予定利率の改定はいつ行われるか見極めが難しいため、経済状況とあわせて注視することが必要

学資保険の返戻率は各社で設定方法の方針があり、現時点では高低の差が生じています。

先ほど紹介したランキングで返戻率の高い学資保険でも、再び予定利率の改定があれば利率が下がるかもしれません。

検討プランの利率がいつまでの加入を前提としているか。

現在学資保険を考えているならば、ここをしっかり確認しておきましょう。